経済力のある女性はモテない?高年収と恋愛の「すれ違い」を研究から考える

ノートを挟んで落ち着いて話す二人 Love & Relationships

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仕事を頑張り、生活を自分で支えられるようになった。それなのに恋愛の話になると、「稼ぎすぎると男性が引く」と言われる。努力して手に入れたものが、親密な関係では欠点になるのか。そう考えると、年収の話をするだけでも身構えてしまいます。

経済力がある女性は、一律にモテないとはいえません。相手が女性の収入をどう受け止めるか、二人がどんな働き方や生活を望むか、そもそも出会う機会があるかは別の問題です。収入を下げたり、できないふりをしたりする前に、どこで関係が止まっているのかを分けて考えましょう。

  • 経済力を求めることと、自分より稼ぐ相手を望むことは同じではありません。
  • 短い出会いでの人気、交際の成立、結婚後の満足は別の指標です。
  • 収入の高さから、性格や家事への姿勢は推測できません。
  • 変えたいのは自分の価値ではなく、出会い方や生活のすり合わせ方です。

「経済力があるとモテない」を、三つの問いに分ける

「モテない」という言葉には、誘われる回数が少ない、好きな相手と交際できない、結婚の話がまとまらない、という異なる出来事が入っています。この三つを混ぜると、仕事が忙しくて会えていない問題まで、収入のせいに見えてしまいます。

止まっている場所確認したい事実まだ決めつけないこと
出会う前会える時間、紹介や検索の条件、出会う人数高収入だから嫌われる
知り合った後相手の発言、次の約束、互いの関心返信が遅いのは劣等感のせい
将来の話住む場所、仕事、家事、支出の希望男性はみな同じ役割分担を望む

たとえば、年収を伝えたあとに連絡が減ったとしても、それだけでは理由は確定しません。相手の事情や相性もあります。一方、「女性は自分より稼がないでほしい」と明言されたなら、それは具体的な価値観の情報です。推測と、実際に聞いた言葉を分けることが出発点になります。

日本の最新調査|女性の経済力を考慮する男性は増加

国立社会保障・人口問題研究所が2026年9月に公表した第17回出生動向基本調査では、結婚相手の経済力を「重視する」「考慮する」と答えた男性は55.6%でした。前回2021年の48.2%から増えています。対象は「いずれ結婚するつもり」と回答した18~34歳の未婚者です。[1]結果の概要・図表3-3

調査年男性が相手の経済力を重視・考慮する割合
1992年26.7%
2021年48.2%
2025年55.6%

出典:第17回出生動向基本調査「結果の概要」図表3-3。各回の対象者に尋ねた意識の割合であり、同じ男性の変化を追った数値ではありません。

この結果は、「女性に収入は求められていない」という説明とは合いません。ただし、55.6%を「自分より年収の高い女性を望む男性の割合」と読むのも誤りです。調査項目は相手の収入などの経済力をどの程度考慮するかであって、二人の年収の上下関係を指定していません。

経済力への期待と、収入の上下に対する価値観は別々に確かめる必要があります。この区別をしないと、「稼いでほしいが、自分よりは稼いでほしくない」という人と、「どちらが多くても協力できればよい」という人が、同じ答えの中に隠れてしまいます。

ノートに希望や条件を書き出す場面
年収の数字と、生活に求める条件を別々に書き出します。

海外研究からわかること、わからないこと

短い出会いでは、相対的な能力も評価に関わる

Fismanらのスピードデート研究では、参加者が短時間の対面後に相手との再会を希望するかを調べました。男性は、女性の知性や野心が自分を上回る場合、それらを高く評価する傾向が見られないという結果が報告されています。[2]Fismanほか(2006)

ただし、これは女性の年収を変えて反応を比べた実験ではありません。知性、野心、収入は別の変数です。特定の出会いの場での短期的な選択を、日本の男性全員の性質や、長期的な結婚の成否に広げることはできません。「能力の高い女性は本能的に避けられる」という説明には、研究が直接調べていない飛躍があります。

妻の収入が夫を上回る境目と、解釈をめぐる議論

Bertrandらは米国の夫婦の相対所得などを分析し、妻が夫より稼ぐことへの忌避という性別役割の規範が、結婚や働き方、夫婦関係に関わると論じました。妻の所得割合が半分を超えたところで分布が落ちるという観察も、その議論の一部です。[3]Bertrandほか

一方、ZinovyevaとTverdostupは、フィンランドの雇用主と従業員を結び付けたデータを用い、同じ職場で働く夫婦の所得が近づくことによっても、その境目の分布を説明できると報告しました。規範だけに帰す解釈に、別の説明を提示した研究です。[4]Zinovyeva・Tverdostup(2021)

後の研究が、性別役割の価値観は存在しないと証明したわけではありません。逆に、最初の分布だけで男性の心理を一つに決めることもできません。お金の分布を観察することと、目の前の相手が何を嫌がっているかを知ることの間には距離があります。

資料が扱うもの読み取れる範囲読み取れないこと
日本の結婚条件調査経済力を条件として挙げる割合高年収女性個人の成婚確率
スピードデートその場での再会希望と評価の関連年収が恋愛を妨げる因果効果
夫婦の相対所得研究所得分布と役割規範などの説明すべての男性の本音や個人の将来

進化心理学だけで結論を出せない理由

配偶者選択の性差を進化の観点から説明する仮説はあります。しかし、ある集団で男女の平均的な好みに差が見つかったことと、その差が生得的で変更できないことは同じではありません。社会の働き方や家族の役割、出会う場の仕組みも、結果を考えるうえで無視できません。

とくに「女性は経済力を求める」「男性は別の条件を重視する」という平均の話から、「経済力のある女性は不利だ」と結論することはできません。女性が収入を持つことの評価と、男性自身の収入に対する女性の希望は、違う問いだからです。説明がわかりやすいほど、何を測った研究なのかを一度確かめたいところです。

マッチングのズレを、生活の条件として捉え直す

ここからは研究そのものの結論ではなく、出会いを整理するための考察です。経済力がある人の難しさは、魅力が減ることだけでは説明できません。自分が望む条件、相手が望む条件、二人が出会える機会が重なる必要があります。どれか一つだけでは交際は成立しません。

「自分以上の年収」に、何を期待しているのか

相手に一定の収入を求めること自体を、悪いことと考える必要はありません。ただ、その条件で守りたいものが何かは言葉にできます。生活費の安定なのか、休職したときの余裕なのか、仕事への理解なのか。それぞれ必要な確認は異なります。

たとえば「仕事への理解」は年収が近いことだけでは確かめられません。繁忙期の約束を相談できるか、昇進や転勤をどう受け止めるかといった行動にも表れます。逆に、希望する住居や子育てにかかる支出は、気持ちの理解だけでは賄えません。金額の条件と関係の条件の両方を見る必要があります。

表面的な条件守りたいことの例具体的に話す内容
自分以上の年収生活の安定固定費、働き方が変わった場合の負担
忙しい仕事への理解仕事を続ける自由会える頻度、繁忙期、転勤
頼れる相手一人で全部背負わないこと家事の担当、困ったときの相談
金銭感覚が近い支出で揉めないこと日常の予算、大きな買い物の決め方
二人が落ち着いて話し合う場面
収入の順位ではなく、二人でどの生活を支えるかを話します。

年収を隠すより、話す順序と範囲を選ぶ

知り合ってすぐ、正確な収入や資産の全額を話す義務はありません。プライバシーを守ることと、虚偽の情報を伝えることは別です。サービスの登録項目には正確に答え、対面で詳しく話す範囲は、関係と目的に応じて選べます。

  • 初対面:仕事内容や、仕事で大切にしていることを話す。
  • 交際を考える段階:会える時間、働き方を続けたい希望を共有する。
  • 同居・結婚を考える段階:収支や負担について、必要な具体性で話し合う。
  • 相手の反応:金額への驚きだけでなく、その後の尊重と協力を確かめる。

「今の仕事は続けたいと思っています。忙しい週もありますが、会う時間は相談して作りたいです」。こうした言い方なら、仕事の大切さと関係を育てる意思を同時に伝えられます。能力を小さく見せる必要はありませんし、仕事の説明だけで会話を終える必要もありません。

予定の調整で関係が止まりやすい場合は、忙しい女性の恋愛が進まない理由と伝え方も参考になります。

場面別ガイド|収入の話で気まずくなったとき

「自分より稼ぐ女性はちょっと」と言われた

その言葉を冗談と決めつけず、「収入の差があると、何が心配?」と確認する余地はあります。支出のペースが心配なのか、役割の上下を求めているのかで違います。自分が仕事を諦めることを前提にした要求なら、説得して選ばれることより、望む関係が一致するかを考えます。

年収を話したあと、連絡が減った

連絡が減った事実と、その原因の推測を分けます。必要なら一度、次に会う意思を具体的に確認します。返事がない相手を追って収入の説明を繰り返しても、理由が明らかになるとは限りません。結論の出ない一件を、自分の魅力全体の判定にしないことが大切です。

自分より低い年収の相手に不安を感じる

上下の数字だけでなく、どの生活条件が不安なのかを確かめます。支出、仕事の安定、家事の負担、将来の働き方を具体的に話します。収入差を気にしないと無理に宣言する必要も、相手の人格を年収から判断する必要もありません。

稼いでいるのだから家計も家事も任される

多く稼いでいることは、すべてを担当する同意ではありません。お金の負担と時間の負担を並べ、双方の休息も含めて相談します。「手伝う」ではなく、誰が何を担当するのかまで決めると話が具体的になります。

暮らしの負担の整理には、共働きの家事分担で喧嘩になる理由と分担表も使えます。

出会い方を見直すための、小さな記録

一人に断られるたびに条件を全部変えると、何が自分に必要だったか見失います。数回の出会いを振り返るなら、相手を採点する表ではなく、どこで話が止まったかの記録にします。これは成婚率を予測する診断ではありません。

記録すること記入例(架空)
出会いの条件仕事帰りに会える範囲に限定していた
自分の希望を伝えたか仕事を続けたいと話したが、会える曜日は伝えていない
相手の実際の言葉平日夜より休日昼がよいと言われた
推測にとどまること自分の年収を気にしたのかは不明
次に変えること休日昼の予定を一つ提案する

変更するのは一度に一つで十分です。検索条件を広げる、会う時間帯を変える、プロフィールに休日の過ごし方を足す。何を変えても成果が保証されるわけではありませんが、少なくとも「自分が稼ぐのをやめればよい」という大きすぎる結論を急がずに済みます。

自分に必要な条件を選び直すための読書

仕事も恋愛も、人の期待に応えようとして予定がいっぱいになってしまう人には、『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』が、引き受けることを選ぶための読書候補になります。高年収女性の恋愛を研究した本でも、成婚を保証する本でもありません。

向いているのは、自分にとって必要な条件と、周囲に言われて気にしている条件を整理したい人です。相手との具体的な家計相談や、配偶者選択研究の専門書を求める場合には別の資料が必要です。まず紙に希望を書くだけでも構いません。出版社の紹介を確認して選んでください。

よくある質問

Q
経済力がある女性は、男性に避けられますか?
A

一律にはいえません。日本の調査では相手の経済力を重視・考慮する男性が増えていますが、自分より稼ぐ相手をどう受け止めるかとは別の問いです。目の前の相手の言葉と行動を確かめる必要があります。

Q
婚活では年収を低く伝えたほうがよいですか?
A

虚偽の情報を伝えることは勧めません。初対面で資産や収入の詳細をすべて話す義務はありませんが、登録項目には正確に答え、関係が進んだら必要な生活条件を話し合います。

Q
自分以上の年収を求めるのは高望みですか?
A

その言葉だけで判断するより、何を守りたい条件なのかを考えます。生活の安定と、仕事への理解は確認方法が違います。希望を持つことと、出会える範囲が狭くなることの両方を見ながら選べます。

Q
男性の本能だから変えられないのでしょうか?
A

特定の研究で男女の平均差が見られても、それだけで生得的で不変とはいえません。収入の相対関係については、性別役割の規範以外の説明を検討した研究もあります。平均から個人の心理を決めつけないことが大切です。

仕事の成果を、恋愛の欠点にしないために

経済力は生活を支える力ですが、人柄や親密さのすべてを表す点数ではありません。自分の収入も相手の収入も、尊重や協力の代わりにはなりません。だからこそ、数字だけで自分を小さくする必要も、相手を大きく見せる必要もないのです。

見るべきなのは、誰からも選ばれるかではなく、自分が続けたい仕事や暮らしを含めて話し合える関係かどうかです。条件が合わないことはあります。その一件と、自分の努力に価値がなかったという結論は、切り離して考えて構いません。

参考文献・調査の範囲

統計は2026年10月確認。日本の調査は公開概要の該当図表、学術研究は以下の公開要旨・紹介を参照しています。観察結果と因果関係、短期の選択と長期の結婚を区別しました。場面別ガイドと記録表は、この記事による実用上の提案です。

[1]国立社会保障・人口問題研究所(2026)第17回出生動向基本調査 結果の概要、図表3-3(本文47頁)

[2]Fismanほか(2006)Gender Differences in Mate Selection: Evidence From a Speed Dating Experiment. DOI:10.1162/qjec.2006.121.2.673

[3]Bertrand・Kamenica・Pan(2013年ワーキングペーパー、2015年刊行)Gender Identity and Relative Income within Households.

[4]Zinovyeva・Tverdostup(2021)Gender Identity, Coworking Spouses, and Relative Income within Households. DOI:10.1257/app.20180542

VIVA

Writer & Visual Artist based in Japan.

Former JGSDF member with professional experience in web writing and editorial direction.

Writing about relationships, communication, and human behavior, with a focus on research-informed perspectives, thoughtful analysis, and practical insights.

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