元カノの写真を一枚見ただけのはずが、いつの間にか旅行先、服、仕事まで調べている。見終わるころには、その人のことより、自分の足りないところのほうが詳しくなっている。
そんな比較が苦しいとき、「今付き合っているのはあなたなんだから」で気持ちが片付くとは限りません。知りたいのは交際の名義ではなく、今の自分が大切にされているという手触りだからです。
まず分けたいのは、自分の中で元カノと比較している場合と、恋人から実際に比べられている場合です。前者には情報の見方や検索との距離が、後者には相手の言動についての話し合いが必要になります。両方が重なることもあります。
元カノが気になるとき、何と何を比べているのか
顔立ちや年齢だけではありません。「元カノとは旅行していたのに、私とは近所ばかり」「あの人の写真は投稿したのに、私は載せない」。比べているのが二人の容姿ではなく、二つの交際で自分が受けている扱い、という場合もあります。
ここを混ぜると、二人で過ごす時間が足りないという相談が、元カノよりきれいにならなければという宿題に変わってしまいます。旅行に行きたいなら、必要なのは容姿の順位を上げることより、予定と予算を相談することかもしれません。
また、自分で比較を始めたのか、彼の「前の彼女はこうしてくれた」という言葉がきっかけなのかでも話は違います。自信の問題だけで説明してしまうと、今ここで傷つける言葉を言われている事実が消えてしまいます。
| 気になっていること | 今の関係で確かめたいこと |
|---|---|
| 元カノのほうが魅力的に見える | 写真から、自分の価値まで決めていないか |
| 昔の交際のほうが楽しそう | 今、二人で増やしたい時間や体験は何か |
| 恋人が元カノと比べてくる | どの言葉が傷つくか、やめてほしい行動は何か |
| 現在の連絡や約束違反が気になる | 過去の魅力ではなく、今の合意が守られているか |
過去の恋愛への嫉妬を調べた研究
FramptonとFoxの2018年の研究は、恋愛経験のある18〜23歳の大学生36人に聞き取りを行いました。元恋人が現在の関係に介入していなくても、恋人の過去に嫉妬する経験を「retroactive jealousy」として扱っています。[1]
分析では、SNSに残る写真などの痕跡、元恋人との社会的比較、今の関係への不確かさが語られました。安心するために情報を集めたつもりが、不安を増やす場合もありました。ただし、これは少人数の聞き取りで、嫉妬する人の割合やSNSの因果的な効果を確定する調査ではありません。
「元カノが実際に何かしているか」と「自分が苦しいか」は別々に確かめられます。相手が何もしていないからといって、気持ちまで嘘になるわけではありません。一方、苦しさが強いことだけで、元カノや恋人が裏切っている証拠にもなりません。

SNSの一枚と、自分の生活全部を比べない
元カノの旅行写真の横に、自分の寝不足の朝を並べる。比べる材料としては、ずいぶん条件が違います。写真にはその日の笑顔が写っていても、交際中の退屈な時間や意見の食い違いまで収まっているわけではありません。
これは「SNSは全部嘘だ」という話ではありません。楽しかった一日は、本当に楽しかったのでしょう。ただ、一日が本物であることと、その関係の全体像が分かることは違います。写真は資料にはなっても、恋愛の成績表にはなりません。
上方比較と自尊感情の研究から分かること
自分より優れていると感じる人との比較は、上方比較と呼ばれます。Vogelらの2014年の論文では、Facebook利用と自尊感情の関連を調べた調査に加え、提示するプロフィールを変える実験が行われました。上方比較を促す情報を見た条件では、下方比較を促す情報を見た条件より、その時点の自尊感情や相対的な自己評価が低い結果でした。[2]
元カノに限った実験ではなく、比較した人すべてが同じ反応になるとも言えません。それでも、「プロフィールを見たあとに自分が小さく感じられる」ことと、「客観的に自分の価値が低い」ことを同一視しない手がかりになります。
一つの長所から、恋人としての総合順位を作らない
たとえば元カノは語学が堪能で、自分は外国語が苦手。その違いが事実でも、「だから彼女のほうが愛されるべきだ」までは導けません。外国語の得意不得意と、二人が一緒に過ごしやすいかは、同じ問いではないからです。
逆に、自分の勝てる項目を探し続ける方法も、順位表を残します。「仕事では勝った。でも容姿では?」と審査項目が増えれば、安心には終わりがありません。元カノを低く評価しなくても、自分の希望や尊厳を大切にすることはできます。
比較するたびに自分を否定してしまうときは、恋愛で自己肯定感が下がる理由と、自分を責めない向き合い方も参考にしてください。相手の評価と、自分の生活全体を切り離して考えます。
検索を続ける前に「知ったら何を変えるか」を決める
元カノの好きな服が分かったら、今の交際の何が変わるでしょうか。何も変わらず、また別の投稿を見たくなるだけなら、その検索は今必要な答えにつながっていないのかもしれません。
調べたくなったときは、禁止の宣言より先に、「何を確かめたいのか」を一文にしてみます。「昔、どちらから告白したか」と「今も秘密で会っているか」は、現在の関係への意味が違います。後者で具体的な矛盾があるなら、写真を延々と探すより、観察した出来事を基に話すほうが論点は明確です。
見に行くまでの手間を少し戻す
寝る前に検索してしまうなら、アプリを閉じて充電場所をベッドから離す。プロフィールへのブックマークを外す。見たくない投稿を自分の画面でミュートする。こうした工夫は、気持ちを消す命令ではなく、見に行く動作を自動で続けないためのものです。
元カノのアカウントに連絡したり、友人に監視を頼んだりする必要はありません。恋人の端末や非公開アカウントを無断で調べることも、安心を求める気持ちとは分けて考えたい行動です。知る権利を際限なく広げても、二人の信頼が整うとは限りません。
一度見てしまった日を失敗扱いするより、「見たあとに何が起きたか」を短く振り返ります。眠れなくなったのか、彼を問い詰めたくなったのか。それが分かれば、次はどの場面で止めるかを決めやすくなります。
恋人が元カノと比べてくるなら、話題を現在に戻す
「前の彼女はもっと連絡をくれた」「元カノはそんなことで怒らなかった」。この場合、変える対象は自分の受け取り方だけではありません。相手がどう話すか、二人で希望をどう調整するかという問題です。
過去の交際について話すことが、すべて比較や攻撃になるわけではありません。「以前こんな失敗をしたので、今回は予定を早めに相談したい」という説明と、「元カノにできたのだから君もやるべきだ」という要求は分けられます。

伝え方の例:元カノの評価ではなく、今後の話し方を頼む
たとえば、こんな言い方ができます。
「元カノはしてくれた、と言われると、今の私では足りないと感じてしまう。連絡を増やしたいなら、私たちがどのくらいやり取りしたいかで相談したい。元カノとの比較でお願いするのは、やめてほしい」
相手に「そんなつもりじゃない」と言われたら、意図を裁く会話にしなくても構いません。「そのつもりではなかったことは分かった。それでも私は傷つくから、次から別の言い方にしてほしい」と、これからの行動に戻します。
元カノより好きかどうかを何度も答え合わせするより、「会っている間は比較の話をしない」「不満は私への具体的なお願いとして話す」など、実際に守れたかを確認できる約束のほうが扱いやすいでしょう。これは効果が保証された台本ではなく、二人の言葉に直して使うための例です。
言いたいことを飲み込んでしまう、反対に強く責めてしまうときは、恋愛でのアサーションとIメッセージ・DESC法で、事実・気持ち・お願いの組み立て方を確認できます。
変化を見るのは、説明よりもその後の行動
一度の不器用な発言と、やめてほしいと伝えても繰り返す態度は同じではありません。話したあとに言い方を変えるか、こちらの希望も聞くかを見ます。比較を使って服装や交友関係、性的な行動まで従わせようとするなら、「自分に自信を付ければ済む」と抱え込まないでください。
また、元カノとの連絡が現在もある場合、仕事や共同養育など続く事情もあれば、二人の合意に反する隠し事がある場合もあります。連絡先が残っているという一点だけで結論を出すより、何について連絡しているか、今の約束に反しているかを確認します。相手を脅したり監視したりせずに話せることも、関係を考える材料です。
自分をいたわることは、何でも我慢することではない
TandlerとPetersenが2018年にオンライン公表した研究では、恋愛関係にあるドイツ語話者185人への調査で、セルフ・コンパッションが高い人ほど、測定された二種類の嫉妬が低い関連がありました。[3]
質問紙による関連の研究であり、「自分に優しくする練習をすれば元カノへの嫉妬が治る」と証明したものではありません。元カノとの比較に限定した調査でもありません。
日常では、「嫉妬する私は面倒な人だ」とさらに責める代わりに、「比べられるのが怖かった」「今は安心がほしい」と言い直すところから考えられます。自分への口調を柔らかくすることと、相手の失礼な言葉を受け入れることは別です。傷ついたと認めるからこそ、やめてほしいと伝えられることもあります。
自分への厳しい言葉を変える練習をもう少し続けたいなら、有光興記著『やさしいセルフ・コンパッション―気持ちが軽くなるワークブック―』(東京図書)が候補になります。出版社の目次にはSNSでの傷つきや人間関係を扱う項目があります。元カノとの比較を解決する専用の本ではなく、自分への接し方を学ぶための一冊です。
PR:以下の書籍リンクにはアフィリエイト広告を含みます。
元カノとの比較についてのQ&A
- Q元カノの写真が残っていたら、未練があるのでしょうか?
- A
写真があるだけでは判断できません。整理していない場合も、過去の記録として残している場合も考えられます。写真だけで気持ちを断定せず、今の交際での言動や、気になることを話したときの対応も見てください。
- Q元カノよりかわいくないと感じます。自分磨きをすべきですか?
- A
自分が楽しめる服や運動を選ぶのは自由です。ただ、元カノに勝つことを交際の条件にすると、比較する項目が増え続けるかもしれません。外見を変えなければ大切にされなくてよい、ということではありません。
- Q元カノのことを全部聞けば、安心できますか?
- A
必ず安心できるとは限りません。今の関係の合意に必要な情報と、聞いても行動が変わらない細部を分けてみてください。交際中の連絡や約束は相談できますが、過去の親密な体験をすべて説明させる必要はありません。
- Q比べられたことを嫌だと言うと、嫉妬深いと思われませんか?
- A
相手がどう受け取るかは決められませんが、傷つく言い方をやめてほしいと頼むことはできます。「過去を消して」ではなく、「私へのお願いは、元カノと比べずに伝えてほしい」と行動を具体的にすると、話の焦点が定まります。
- Q比較が止まらず、睡眠や仕事に影響しています。
- A
一人で考え方を変えようと頑張り続けず、医療機関や心理相談の窓口に相談してください。何を見たあとにつらくなり、生活のどこに影響しているかを伝えると状況を説明しやすくなります。
元カノとの勝負を終え、今の二人に問いを返す
「あの人より上か」という問いには、交際を続けるうえで必要のない採点が混ざります。写真写り、旅行の回数、付き合った年数。すべてに勝ってからでないと安心できないのなら、比較の審査はいつまでたっても閉会しません。
問いを「今、私はどう扱われたいか」に替えると、相談できることが出てきます。話を最後まで聞いてほしい。比較する言い方をやめてほしい。次の休みに二人で出かけたい。過去の誰かを追い越すより、そうした希望を二人で扱えるかを確かめるほうが、今の交際について多くを教えてくれます。
参考文献
[1]Frampton, J. R., & Fox, J.(2018). Social Media’s Role in Romantic Partners’ Retroactive Jealousy: Social Comparison, Uncertainty, and Information Seeking. Social Media + Society, 4(3). doi:10.1177/2056305118800317.
[2]Vogel, E. A., Rose, J. P., Roberts, L. R., & Eckles, K.(2014). Social Comparison, Social Media, and Self-Esteem. Psychology of Popular Media Culture, 3(4), 206–222. doi:10.1037/ppm0000047.
[3]Tandler, N., & Petersen, L.-E.(2018年オンライン公表). Are self-compassionate partners less jealous? Exploring the mediation effects of anger rumination and willingness to forgive on the association between self-compassion and romantic jealousy. Current Psychology. doi:10.1007/s12144-018-9797-7.
