恋愛で承認欲求が止まらないとき|「好き?」の確認と、自分の価値を分ける方法

静かなカフェで向き合う二人のイメージ Love & Relationships

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「好きだよ」と言われて、ようやく眠れると思った。けれど翌朝、短い返信を見た途端、昨日の言葉が頼りなくなる。もう一度聞きたい。でも、聞きすぎて嫌われるのも怖い。恋愛の承認欲求が苦しいのは、欲しかった答えをもらっても、その答えの有効期限がすぐ切れてしまうところです。

誰かに大切にされたい気持ちを、なくす必要はありません。考えたいのは、相手からの好意を受け取ることと、相手の反応に自分の価値の判定を預けることの違いです。返信を待っているつもりで、実は「自分は愛されるに値するか」という判決を待っているなら、一通のメッセージに背負わせる仕事が大きすぎます。

目標は、誰にも頼らない人になることではありません。 助けや愛情を具体的に求めながら、答えが来ない時間にも自分の生活を保てることです。この記事では、関係に左右される自己評価と、繰り返す安心確認の研究を読み解き、日常の会話へつなげます。

静かなカフェで向き合う二人のイメージ

承認欲求と恋愛依存を、一つの性格にまとめない

「認めてほしい」の中にある三つのお願い

恋人へ「私のこと、どう思っている?」と聞く場面でも、求めているものは同じとは限りません。交際を続ける意思を確かめたいのか、落ち込んだ日に気持ちを受け止めてほしいのか、それとも、自分には価値があると保証してほしいのか。問いを分けると、相手に頼めることも変わります。

  • 情報を知りたい:「次に会う予定を決めたい」「今の関係をどう考えているか聞きたい」。
  • 気持ちを受け止めてほしい:「今日は落ち込んでいるので、少し話を聞いてほしい」。
  • 自分の価値を保証してほしい:「どんなときも絶対に嫌いにならないと証明してほしい」。

この分類は診断尺度ではなく、本記事の整理です。三つ目の願いが浮かぶこと自体を責めるものでもありません。ただ、予定や今の気持ちは話し合えても、将来のあらゆる変化を保証する返事は、誰にも用意できません。答えられない問いを繰り返すほど、二人とも困ってしまいます。

頼ることと、確認をやめられないことの違い

心理学の研究では、すでに安心させる言葉を受け取っていても、自分が愛される存在か、価値のある存在かを繰り返し他者へ確かめる傾向を、過剰な安心確認(excessive reassurance seeking:ERS)として扱います。Shaverらの2005年の論文も、この特徴を区別して検討しています。[2]

回数だけで線を引けるものではありません。長く会えない時期に何度も寂しさを伝えることと、返事をもらうたびに「言わせたから本心ではない」と無効にすることには違いがあります。自分や恋人を「依存体質」と呼ぶ前に、何を聞き、どんな答えなら受け取れ、その後どうなるのかを見ます。

「恋愛依存」という言葉だけでは、具体的な困りごとは分かりません。ここで紹介する質問や研究から、特定の病気を判定することはできません。愛情を求めたことだけを理由に、自分を病的だと決める必要もありません。

自己肯定感の高さより、「何に連動するか」

恋人の反応が、自分の成績表になるとき

Kneeらの2008年の研究は、関係に依存する自尊感情(relationship-contingent self-esteem:RCSE)を四つの研究で検討しました。日誌研究では、RCSEが高い人ほど、関係で起きた出来事の良し悪しと自己評価の変動が強く結びついていました。単に自己評価が低いかではなく、恋愛の出来事にどれほど左右されるかという視点です。[1]

「今日は褒められたから自信がある。でも、明日の返信次第で全部ひっくり返る」。この場合、その瞬間の自己評価を上げるだけでは、揺れ方の問題が残ります。褒め言葉を増やす作戦が一時的に効いても、次の反応を待つ生活は続くかもしれません。

本記事では、この状態を考えるために、関係の評価と、人としての価値を別々の欄へ置くことを提案します。「今の連絡の仕方は合っていない」は関係についての判断です。「だから自分は大切にされる価値がない」は、自分全体への飛躍です。前者には相談や選択が必要でも、後者まで引き受ける必要はありません。

強くつながっていることと、満たされていること

同じKneeらの研究では、カップルの双方でRCSEが高い場合、関係へのコミットメントは高い一方、満足度や親密さが高いわけではありませんでした。関係を強く維持したいことと、関係の中で満たされることは一致しない場合があります。[1]

「こんなに離れたくないのだから、最高の相手に違いない」と考えると、暮らしの中の不満が見えにくくなります。離れがたさは大切な感情ですが、尊重されているか、希望を言えるか、休めるかという問いの代わりにはなりません。

好意と尊重を分けて相手を見る:自己肯定感と恋人選びの研究

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安心確認は、必ず関係を壊すのか

愛着不安を含めると、説明が変わる研究

Shaverら(2005)は、一つ目の研究で72組、二つ目で61組のカップルを調べ、後者では14日間の日誌も集めました。安心確認と抑うつの関連は、愛着不安との関連を考慮すると説明されました。少なくともこの若い未婚カップルの研究からは、「確認するから相手が離れ、そのせいで抑うつになる」という一本道だけでは説明できません。[2]

ここから「全部、自分の頭の中の問題だ」という結論も出せません。研究である説明が支持されなかったことと、目の前の相手が誠実であることは別だからです。約束を何度も破られる状況なら、その行動を具体的に扱う必要があります。

同じ質問でも、受け取り方は一様ではない

Evraireら(2022)は、異性カップル110組を対象とした14日間の日誌研究で、安心確認と信頼の関係を調べました。信頼が低いほど日々の確認が多い関連がありましたが、翌日の信頼との関連は、本人・相手の愛着傾向などによって異なりました。一部では信頼の低下、別の組み合わせでは相手側の信頼の高さと関連しており、確認が必ず悪い結果を生むとは言えません。[3]

安心してほしいと頼まれることを、親密さとして受け取る場面もあるでしょう。一方、休むことも断ることも認められない質問は重荷になります。研究を日常へ生かすなら、確認という行為を一律に禁止するより、二人の間で何が起きているかを確かめる方が実用的です。

ただし、特定の愛着傾向の恋人を選べばうまくいく、という相性表にはできません。この研究は観察研究で、対象も限定されています。二人のやり取りを理解する材料であって、相手を分類して攻略する説明書ではありません。

自分の回答と、実際の会話を区別する意味

StewartとHarknessの研究(2017年掲載)は、女性118人とその男性パートナーを対象に、質問紙だけでなく録音した会話中の安心確認も評価しました。自己報告と行動の指標では、相手が報告する関係の質との関連の現れ方が異なりました。安心確認を測る方法や、抑うつ・信念の条件にも目を向ける必要があります。[4]

「自分は重い人だと思う」という自己評価と、実際にどんな言葉を何度伝えたかは別の情報です。振り返るなら性格の判決より、会話の一場面を選びます。ただし、相手を無断で録音して証拠を集めることを勧めているわけではありません。自分が覚えている言葉を短くメモする程度でも、相談の入口になります。

SNSの「いいね」と恋愛を、脳だけで同一視しない

数字になった承認が持つ力

Shermanら(2016)は、SNSを模した課題で、13〜18歳の32人の行動と脳活動を調べました。研究者が付けた「いいね」の多さは、参加者が写真へ「いいね」を付ける判断に影響し、多い「いいね」を見る場面では報酬処理などに関わる領域の活動との関連も見られました。これは青年期の仲間からの承認を扱う実験です。[5]

この結果は、「SNS依存と恋愛依存は同じ脳の病気だ」という証明ではありません。恋人との長期的な関係を測った実験でも、ドーパミンの分泌量を直接測定した研究でもありません。似た脳領域が関わるというだけで、体験全体を同じものにすることはできません。

一方、暮らしの見直しとして、共通する問いは立てられます。自分が知りたいのは相手の気持ちなのか。それとも、数字や通知が動く瞬間の安心なのか。これは脳の同一性についての主張ではなく、どの情報に自分の判断を預けているかを考える問いです。

返信速度を、自分の価値の指標にしない工夫

既読、最終ログイン、投稿への反応は見つけやすい情報です。しかし、見つけやすさと、知りたいことへの答えになっているかは別です。「オンラインだった」は分かっても、「自分を大切にしていない」まで確定するわけではありません。

通知を切ることが仕事上難しい人なら、すべての連絡を遮断する必要はありません。食事中は相手のプロフィールを開かない、寝る前の確認を一度下書きへ移すなど、自分の生活を守る範囲を一つ決める方法があります。相手を焦らせる駆け引きではなく、自分の時間の使い方として考えます。

相手のSNSを調べ続けてしまうとき:嫉妬と確認行動の整理

連絡から離れて休息を取る男性のイメージ

「好き?」を送る前の、四つの確認

ここからは研究で効果が検証された治療プログラムではなく、日常の会話を整理するための提案です。近い場面を開き、今必要なことを一つ選んでください。

01 何を知りたい?

予定や交際の意思など、相手が答えられる情報を一つに絞ります。「自分に価値がある証拠」と混ざっていないかも振り返ります。

02 もう答えをもらった?

同じ質問への返事があるなら、何が足りないと感じたかを言葉にします。採点の条件を後から増やしていないかを見ます。

03 相手は断れる?

今は話せないという返事も受け取れるかを確認します。予定を相談することと、即答を強いることを分けます。

04 その後、何へ戻る?

食事、休息、仕事など、自分の生活へ戻る行動を一つ選びます。不安が完全に消えるまで暮らしを止める必要はありません。

答えを受け取る条件を、後から変えない

「好きだよ」と返ってきたときに、「でも絵文字がない」「聞かなければ言わなかった」と採点項目を増やしていないでしょうか。もちろん、言葉だけでなく行動を見ることは必要です。ただ、その場で何が知りたかったかが変わり続けると、どんな返事も不合格になります。

質問の前に、「今、聞きたいことは一つだけか」「どんな返事なら、この話をいったん終えられるか」を考えます。終えられる答えが思いつかないなら、必要なのは追加情報より、今の不安を受け止めてもらう時間かもしれません。

「何も聞かない」へ振り切らない

確認が多かったと気づいて、急に平気なふりを始めると、相手には何が変わったのか伝わりません。「寂しさを言わない」が新しい我慢の規則になることもあります。お願いを減らすだけでなく、お願いの形を変えることを考えます。

  • 予定を知りたいとき:「今週会える日を決めたい。いつなら相談できる?」。
  • 話を聞いてほしいとき:「今日は不安が強い。今、少し話を聞ける余裕はある?」。
  • 同じ確認を繰り返しているとき:「さっきの返事を疑いたくなっている。もう一度証明してもらう前に、少し落ち着く時間を取りたい」。

例文どおりに言う必要はありません。相手が「今は難しい」と答えられ、自分も別の方法を選べることが大切です。断れないお願いは、内容が優しくても圧力になり得ます。

自己承認を、もう一つの成績競争にしない

「自分を好きになる」より、扱い方を決める

自分を褒めようとしても、言葉が空々しく感じる日があります。そのたびに「自己承認もできない」と落ち込むなら、いったん気分の目標から離れてみます。「自分は最高だと思えること」ではなく、「返事がなくても夕食を取る」「断った自分を罰するために徹夜しない」と、扱い方を決める方法があります。

これは、自己評価を高める効果が約束された手順ではありません。今日の相手の評価が分からなくても、自分への最低限の配慮まで保留しないという、生活の方針です。

恋愛以外の予定を、魅力の証明に変えない

「趣味や仕事に打ち込めば、恋人から追われる」と考えると、恋愛以外の活動まで相手の反応のためになります。新しい趣味をSNSへ載せ、相手が見たかを確かめるなら、場所が変わっても評価の中心は同じです。

誰にも見せない楽しみを持ってもかまいません。上達しない趣味、短い散歩、友人と普通にご飯を食べる時間でも十分です。承認を得る場所を増やすことだけでなく、承認の有無を採点しない時間を残すという方向があります。

静かな川沿いを歩く二人のイメージ

恋人が確認を繰り返すときの応じ方

気持ちへの共感と、証明の限界

「またそれ?」と言いたくなるほど疲れることもあります。相手の不安を理解しようとすることと、いつでも何度でも答え続けることは別です。たとえば、「不安なんだね。今の気持ちはさっき伝えたとおりだよ。今日はもう寝たい。明日、連絡の仕方を相談しよう」と、気持ちと対応できる範囲を分ける例があります。

ただし、説明すれば必ず穏やかに終わるとは限りません。相手が怒鳴る、脅す、外出を妨げるなど、安全に断れない状況なら、上手な言い方だけで解決しようとしないでください。二人きりの説得より、信頼できる人や支援者への相談を優先します。

本当に説明が不足している場合

「確認が多い」という理由で、必要な説明まで拒んでよいわけではありません。会う約束を何度も変える、交際の意思を曖昧にしたまま都合よく会うなど、実際の行動が不安定なら、その点は話し合う課題です。

自分の確認の仕方を見直すことと、相手に誠実な対応を求めることは両立します。自分を整えたら何でも我慢できるはず、という方向へ進まないことも大切です。

デートの予定を話し合う二人のイメージ

境界線を学ぶための一冊

鴻巣麻里香『自他の境界線を育てる――「私」を守るバウンダリー』(2026年)は、出版社の内容紹介と目次で、自分の願いと周囲の期待の違い、恋愛関係、プライバシー、自分が境界線を踏み越える側になることなどを扱っています。[6]

「認めてもらうために断れない」「相手へどこまで求めてよいか分からない」という問いを持つ人に、検討しやすい一冊です。一方、相手の気持ちを確実に変える恋愛テクニックや、依存の診断を求める目的には向きません。まず目次を確認し、自分の困りごとに近い章があるか見てください。

紙で読み返したいか、電子版で読みたいかによって選ぶ形式も変わります。購入前に販売ページで版・形式・価格を確認してください。読書は相談や治療の代わりではなく、自分と相手の責任の範囲を考える補助として使えます。

相談を考えたい、生活への影響

厚生労働省は、ストレスのサインとして、不安や緊張、気分の落ち込みに加え、睡眠や食欲の変化などを挙げています。[7] 恋愛の確認に時間を取られて生活が崩れているなら、「承認欲求が強いだけ」と片づけず、医療機関や相談先で具体的に話せます。

伝えるときは、「依存しています」というラベルだけでなく、「返事が来るまで眠れない」「同じ質問を何度もしてしまう」「仕事中も確認が止まらない」と、起きていることを説明します。相談するために、原因を自分で確定する必要はありません。

感情を抑え込まず、行動を選び直すための整理と相談の目安

よくある質問

Q
恋人に「好き?」と聞くのは依存ですか?
A

その質問だけで依存や病気とは判断できません。聞いた背景、答えを受け取れるか、繰り返しによる生活や関係への負担を見ます。愛情を確かめたい気持ちまで禁止する必要はありません。

Q
承認欲求は完全になくした方がよいですか?
A

誰かに認められたい気持ちをゼロにすることが目標ではありません。相手の反応を求めながらも、自分の価値のすべてや日常の選択を一つの返事へ預けないことを考えます。

Q
返信が遅いと不安になるのは、自分の問題ですか?
A

自分の解釈だけでなく、二人の約束や相手の実際の行動も関わります。返信がない事実と、その理由についての推測を分け、連絡の仕方を相談できる関係かも確認してください。

Q
恋人は、安心するまで答え続けるべきですか?
A

無制限に証明を続ける義務はありません。気持ちを受け止めることと、休息やプライバシーを守ることは両立します。ただし、約束を破ったなど必要な説明がある場合まで、確認の多さを理由に拒むことは別の問題です。

愛情を受け取り、自分への判決を待たない

恋人の言葉でうれしくなることは、弱さではありません。そのうれしさを大切にしながら、返事が短かった日にも、自分の存在全体へ不合格を出さずにいられる余地をつくります。

今日変えるなら、質問を一つ具体的にすることからでも十分です。予定を聞きたいのか、話を聞いてほしいのか。答えをもらった後には、何へ戻りたいのか。恋愛の外へ逃げるためではなく、恋愛の中でも自分の暮らしを続けるために、その違いを言葉にしてみてください。

参考文献・一次資料

[1] Knee CR, Canevello A, Bush AL, Cook A. (2008). Relationship-Contingent Self-Esteem and the Ups and Downs of Romantic Relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 95(3),608–627. 原文を読む

[2] Shaver PR, Schachner DA, Mikulincer M. (2005). Attachment Style, Excessive Reassurance Seeking, Relationship Processes, and Depression. Personality and Social Psychology Bulletin,31,343–359. 原文を読む

[3] Evraire LE, Dozois DJA, Wilde JL. (2022). The Contribution of Attachment Styles and Reassurance Seeking to Trust in Romantic Couples. Europe’s Journal of Psychology,18(1),19–39. 原文を読む

[4] Stewart JG, Harkness KL. (2017; online2016). Testing a Revised Interpersonal Theory of Depression Using a Laboratory Measure of Excessive Reassurance Seeking. Journal of Clinical Psychology,73(3),331–348. 抄録参照。 原文を読む

[5] Sherman LE, et al. (2016). The Power of the Like in Adolescence. Psychological Science,27(7),1027–1035. 原文を読む

[6] 筑摩書房. 鴻巣麻里香『自他の境界線を育てる』内容紹介・目次。 原文を読む

[7] 厚生労働省. ストレス状態のサイン。 原文を読む

VIVA

Writer & Visual Artist based in Japan.

Former JGSDF member with professional experience in web writing and editorial direction.

Writing about relationships, communication, and human behavior, with a focus on research-informed perspectives, thoughtful analysis, and practical insights.

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