マッチングアプリ疲れはなぜ起きる?選択肢が多いほど消耗する心理と休む判断基準

多数のプロフィールが表示されたスマートフォンをテーブルに置き、向かいの空席を見つめる女性を雑誌表紙風に構成した場面 Mind & Psychology

※記事内の情報は、2026年8月時点で確認した内容です。広告(PR)を含む場合があります。

・・・マッチングアプリを開いても、以前ほど楽しくない。

プロフィールを何人見ても同じに見える。
マッチしても嬉しくない。
返信しなければと思うほど面倒になる。
会っても「もっと合う人がいるのでは」と考えてしまう。

この状態を単純に「恋愛に疲れた」と考えると、原因を見誤ります。

マッチングアプリ疲れの本質は、恋愛そのものよりも、候補者を探し、比較し、自分を売り込み、結果の読めないコミュニケーションを何度も繰り返すことによる負荷にあります。

本記事では研究を整理し、マッチングアプリで生じる負担を「探索」「選別」「自己提示」「不確実性」の4つに分けて考えます。これは医学的な診断分類ではなく、複数の研究結果を理解しやすくするための編集上の整理です。

そのうえで、「もう少し続ければ出会えるのか」「一度休んだ方がいいのか」「そもそも出会い方を変えるべきなのか」まで判断できる形にします。

マッチングアプリ疲れは珍しい現象ではない。ただし「9割が疲れる」と一般化はできない

2026年に結婚相談所ZWEIが現会員1,064人を対象に実施した調査では、マッチングアプリ利用経験者770人のうち89.1%が「頻繁に」または「時々」アプリ疲れを感じたと回答しました。原因としてはメッセージなどのコミュニケーション負担が目立っています。[1]

ただし、この89.1%を「マッチングアプリ利用者全体の9割」と解釈するのは適切ではありません。

調査対象は現在ZWEIへ入会している人です。つまり、過去のアプリ婚活から別の手段へ移った人を多く含むと考えられ、一般のアプリ利用者より疲労経験者が集まりやすい可能性があります。

重要なのは正確な割合よりも、アプリを使えば疲れる人が一定数存在し、その疲労自体が研究対象になる程度には繰り返し観察されているという点です。

マッチングアプリ疲れの正体は「恋愛」よりも選考作業のバーンアウトに近い

「疲れた」という言葉だけでは、何が起きているのか分かりません。

マッチングアプリ研究では近年、職業上のバーンアウト研究を参考にしながら、アプリ利用による消耗を情緒的消耗、効力感の低下、非人格化などから捉える研究が出ています。

Sharabiらは、アクティブな独身マッチングアプリ利用者493人を対象として12週間に4回の調査を行いました。最終的な分析対象は190人で、時間経過とともに情緒的消耗と「うまくいかない」という効力感の低下が増加していました。もともとの不安、抑うつ、孤独感も、より強い消耗と関連していました。[2]

つまり、マッチングアプリ疲れは「昨日嫌な人とマッチした」という一回の出来事だけではありません。

小さな判断、拒絶、期待外れ、返信、自己紹介、再検索が蓄積した結果として、次のような状態へ移行していきます。

  • 以前なら気になった相手にも興味を持てない
  • プロフィールを見ること自体が面倒になる
  • 「どうせ続かない」と最初から期待しなくなる
  • 返信が人間関係ではなくタスクに感じられる
  • マッチしないことを自分の魅力不足と結びつける
  • 出会いたいのに、誰とも会いたくなくなる

2026年に公表された27研究、計21,263人を対象とする系統的レビュー・メタ分析でも、スワイプ型デーティングアプリの利用と、情緒的苦痛、外見への懸念、身体イメージ、行動調整の問題、対人感受性などとの間に小〜中程度の関連が報告されています。

一方、一般的ウェルビーイングとの関連は小さく有意ではなく、研究間のばらつきも大きいため、「アプリを使えば精神状態が悪化する」という単純な因果関係までは示されていません。[3]

アプリはすべての人を疲れさせるのではありません。ただ、特定の使い方や心理状態と組み合わさると、疲労が蓄積しやすい構造を持っています。

なぜマッチングアプリは疲れる?4つの負荷から考える

マッチングアプリ疲れを「メッセージが面倒だから」だけで説明すると不十分です。

研究をまとめると、少なくとも4種類の作業が同時に発生しています。

負荷アプリ上で起きること疲れたときの感覚
探索負荷大量の候補を見続ける「もう誰を見ても同じ」
選別負荷あり・なしを繰り返し判断する「誰がいいのかわからない」
自己提示負荷写真・プロフィール・メッセージで自分を魅力的に見せる「自分を売り込むのに疲れた」
不確実性負荷返信・温度差・真剣度・関係の継続可能性を読み続ける「また突然終わるかもしれない」
候補探索、比較選択、プロフィール用の自己提示、返信を待つ不確実性の4場面を並べた図
アプリ疲れは、一つの作業ではなく複数の負荷が重なって生じる。

1. 選択肢が多いほど「もっと良い人」を探し続けやすくなる

マッチングアプリ最大の長所は、普通の生活では出会えなかった大量の候補へアクセスできることです。

しかし、「候補が増える=必ず選びやすくなる」わけではありません。

PronkとDenissenは3つの研究を通じて、オンラインデーティングで候補を連続して評価すると、後半になるほど相手を拒否する傾向が強まる「rejection mind-set」を検討しました。研究では最初の候補から最後の候補にかけて、受け入れる確率が平均27%低下していました。[4]

これは「27%の人が恋愛できなくなる」という意味ではありません。特定の実験条件下で、候補を評価し続けること自体が評価を厳しくする方向へ働いたという結果です。

さらにD’AngeloとTomaの実験では、6人から相手を選んだ参加者より24人から選んだ参加者の方が、1週間後に選んだ相手への満足度が低く、選択を変更しやすい結果となりました。[5]

ここにマッチングアプリ特有の難しさがあります。

良い人がいないから探すのではなく、探し続けられるから「もっと良い人がいるかもしれない」という比較が終わらなくなることがある。

通常の生活では、気になる人と出会えばその人について知る方向へ注意を使います。アプリでは、気になる人を見つけた後も、画面の向こうに次の候補が残り続けます。

その結果、「この人と合うか」という絶対評価より、「次の人の方が良いか」という相対評価が強くなります。

2. 「選ぶ側」であると同時に、常に「選ばれる側」でもある

マッチングアプリでは相手を評価していますが、同時に自分も評価されています。

  • いいねが来る。
  • 来ない。
  • マッチする。
  • 返信される。
  • 既読で終わる。

こうした小さな反応が、利用するたびに返ってきます。

2026年のメタ分析では、アプリ利用と外見への懸念や身体イメージに関する指標にも関連が確認されました。ただし、多くの研究は因果方向まで確定できる設計ではないため、「アプリが自己肯定感を下げる」と一方向に断定することはできません。[3]

それでも、マッチ数を自分の価値の採点結果として読むようになると危険です。

「今回はマッチしなかった」という出来事が、

「写真が悪い」
「見た目が悪い」
「自分には価値がない」

へ変換されてしまうからです。

恋愛場面で他者の反応と自己価値が結びついてしまう仕組みについては、恋愛で自己肯定感が下がる理由の記事でも詳しく整理しています。

3. 出会うたびに「自分という商品」を最初から説明し直す

マッチングアプリでは、まだあなたを知らない相手に対して短時間で自分を理解してもらわなければなりません。

  • 写真を選ぶ
  • プロフィールを書く
  • 仕事や趣味を説明する
  • 相手のプロフィールに合わせた話題を考える
  • 同じ質問へ何度も答える
  • 会話が途切れれば別の相手で再び最初から始める

Adamczykらがポーランドの未婚者30人に行った質的研究では、オンラインデーティングが「自己商品化」や「セルフブランディング」の技能を要求する活動として経験されることや、アプリを使わなければならないという義務感を感じる参加者がいることが報告されています。[6]

同じ女性が別々の男性と三つのカフェ席で似た自己紹介を繰り返している場面
関係が途切れるたび、相手だけが変わった「最初の会話」へ戻る。

もちろん30人への質的研究なので、全利用者へ一般化できる数字ではありません。それでも、アプリ疲れの感覚を理解するうえで重要な視点です。

普通の人間関係では関係が深まるほど説明が不要になりますが、アプリでは関係が途切れるたびに自己紹介へ戻されます。

これが「恋愛が進んでいないのに、面接だけ何十回も受けている」ような感覚を生みます。

4. 「返信が来るかわからない関係」を何本も同時に管理する

最後の負荷は、不確実性です。

マッチしたからといって返信が来るとは限りません。
返信が続いても会えるとは限らない。
会えても次につながるとは限らない。

相手が恋人を探しているのか、結婚相手を探しているのか、暇つぶしなのかも、プロフィールだけでは完全には判断できません。

こうした状況では、一人の相手との関係が確定する前に複数人との会話を並行することになります。

DegenとKleeberg-Niepageは、22〜42歳の異性愛者27人への質的インタビューをもとに、アプリ上の加速、並行的なデーティング、非コミットメント、反復的なやり取りなどが疲労と結びつく過程を分析しています。

また、疲労が蓄積すると、他の利用者に対する否定的な一般化や価値の切り下げが生まれ、それがさらに否定的な交流を作る自己強化的な循環も指摘しています。[7]

これはかなり重要です。

疲れているから良い相手に会えないだけではありません。

疲れることで相手を見る目そのものが変わり、さらに疲れる使い方を自分でも再生産してしまう可能性があるのです。

マッチングアプリ疲れは「出会えないから」だけでは起きない

一般的には「成果がないから疲れる」と考えられがちですが、それだけでは説明できません。

マッチ数が多くても疲れる人はいます。複数人から連絡が来れば、その分だけ返信・比較・予定調整が増えるからです。

一方、マッチ数が少なくても疲れます。今度は試行回数に対して結果が少なく、「何を直せばいいのかわからない」という効力感の低下が起きるからです。

つまり、アプリには両方向の疲れがあります。

状態起こりやすい負担
マッチしない拒絶感、自己評価の低下、改善点探し
マッチしすぎる返信、比較、判断、予定管理
会えない努力に対する効力感低下
会いすぎる初対面の反復、時間・費用・感情負担

したがって「もっといいねを増やせば疲れは解決する」とは限りません。

出会いの不足と、出会いを処理できる量は別問題です。

疲れたまま使い続けると「相手の選び方」が変わることがある

アプリ疲れで怖いのは、単に気分が落ちることではありません。判断方法が変わっていくことです。

最初は、「この人とは何が合いそうだろう」と考えていた人でも、疲労が蓄積すると、

  • 身長が少し違う
  • 趣味が完全一致しない
  • 写真が少し好みではない
  • 一通目が面白くない

といった理由で素早く除外するようになることがあります。

これは理想が高くなったというより、一人ひとりを詳しく検討する認知コストを払えなくなり、除外ルールで処理する方が楽になっている可能性があります。

少数のプロフィールを丁寧に見る状態から、大量の候補を素早く処理する状態へ変化する女性の3場面

選択肢を見続けるほど拒否傾向が高まった実験結果とも整合します。[4]

ここで起きる逆説は明快です。

良い人を見つけるために多くの人を見る。
しかし、多くの人を見すぎた結果、一人の人を丁寧に見る能力が落ちていく。

マッチングアプリのボトルネックは、候補者数ではなく利用者側の注意力と判断力になることがあります。

あなたのマッチングアプリ疲れはどのタイプ?原因を先に特定する

疲れたからといって、全員が同じ対処をする必要はありません。

次の表で、何が最も負担になっているか確認してください。ここでは先ほど整理した4つの負荷に加えて、利用環境とのミスマッチや習慣化も含め、実際の対処につながる形で整理します。

現在の感覚主な原因・状態最初に変えること
プロフィールを見るだけで疲れる探索・選別新規候補を見る量を減らす
誰を選んでももっと良い人がいそう選別相対比較ではなく、自分の最低条件で判断する
返信すること自体が面倒自己提示・コミュニケーション同時進行数を減らす
いいねやマッチ数で気分が変わる評価通知・確認頻度と自己評価を切り離す
何人会っても信用できない不確実性候補を増やすより判断基準を固定する
真剣度が違う人ばかり環境とのミスマッチ使い方ではなく出会う環境を見直す
暇になると無意識にアプリを開く習慣化利用目的と利用時間を分ける

特に「信用できない人ばかり探すのに疲れた」という場合は、候補数を増やすより、マッチングアプリで誠実な男性を見抜く判断基準を先に固定した方が効率的です。

疲れたら「続ける・休む・出会い方を変える」の3択で考える

アプリ疲れへの対応を「続けるか、退会するか」の二択にする必要はありません。

判断向いている状態変えること
負荷を減らして続ける会ってみたい人はいるが、処理量が多すぎる候補・メッセージ・確認頻度を絞る
一度休む誰にも興味を持てず、返信が義務になっている新規探索を停止し、判断能力を使わない期間を作る
出会う環境を変える相手の目的・本人確認・サポートなど、仕組みそのものが希望と合わないアプリ変更、紹介、イベント、相談所など別方式を比較する
アプリの利用量を減らして続ける、一度スマートフォンから離れる、対面の場へ移る三つの選択を並べた場面
疲れたときの選択肢は「頑張るか退会するか」の二択ではない。

続けてもよい状態

  • プロフィールを見ること自体にはまだ興味がある
  • 特定の相手とは話してみたいと思える
  • 疲れの原因が「人数が多すぎる」など具体的に分かっている
  • アプリ外の生活は崩れていない
  • 目的に合う利用者も一定数いる

この場合は退会より、活動量を下げる方が合理的です。

一度休んだ方がよい状態

  • 誰を見ても同じに感じる
  • マッチしてもほとんど嬉しくない
  • 返信内容を考えることに強い抵抗がある
  • 最初から「どうせ切られる」と考える
  • 会う気がないのにスワイプだけ続けている
  • いいね・返信の有無で一日の気分が大きく変わる

この状態では、プロフィール改善やスワイプ量の増加は根本解決になりにくいでしょう。休む期間を一律に「○週間」と決める必要もありません。

再開基準は時間ではなく、「また一人の相手を一人の人間として見てみようと思えるか」で考える方が合理的です。

出会い方そのものを変えた方がよい状態

疲れの原因がアプリ使用量ではなく、次のようなミスマッチなら、休んで同じ環境へ戻っても再発する可能性があります。

  • 結婚意思を初期段階から確認したい
  • 身元確認の範囲を重視したい
  • 自分で大量の候補を探したくない
  • 第三者から紹介してもらう方が楽
  • メッセージを長く続ける形式が合わない
  • 対面で雰囲気を見ないと判断できない

この場合、「もっと自分に合うマッチングアプリ」を探すことだけが答えではありません。

紹介、友人経由、イベント、趣味のコミュニティ、婚活パーティー、結婚相談所など、候補者の集め方そのものが違う方法を比較する価値があります。

相手探しやメッセージのやり取りに疲れたなら

もし、相手を探すことや「いいね」、メッセージのやり取りそのものに疲れているなら、同じマッチングアプリでも仕組みを変える方法があります。

バチェラーデートは、相手探しからマッチング、デートの日程調整までを自動化したサービスです。出会い自体は続けたいものの、候補を選び続けることに疲れた人は、一つの選択肢として比較してみてもよいでしょう。

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相手の真剣度を見極めることに疲れたなら

一方で、疲れの原因が「相手がどれくらい真剣なのかわからない」「結婚意思を一人ずつ確認するのがしんどい」という点にあるなら、マッチングアプリそのものから離れる方法もあります。

たとえばエン婚活エージェントは、独身証明書の提出が必要なオンライン型の結婚相談サービスです。恋愛相手を大量に探すより、最初から結婚を前提とした相手に絞りたい人には、こちらの仕組みの方が合う可能性があります。

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マッチングアプリ疲れを減らすなら「出会いを増やす」より処理量を減らす

マッチングアプリでは、利用量を増やせば接触できる人数も増えます。しかし人間が一日に使える注意力は増えません。

そこで、疲労対策では「どれだけ多くの人を見るか」より、「どれだけ少ない認知負荷で判断できるか」を考えます。

多数のプロフィールから少数の会話相手へ候補を絞り、最後に一人と対面する流れ
ボトルネックになるのは候補者数ではなく、一人ずつ判断するために使える注意と時間。

新しい候補を見る前に、現在の会話を処理する

数人とすでに会話しているのに、新しい候補を延々と追加すると判断対象だけが増えます。

同時進行人数の上限を自分で決め、枠が空くまで新規探索を止める方法があります。

最適人数を一律に決める研究的根拠はありません。重要なのは、自分が相手の仕事内容、価値観、話した内容を混同しない範囲へ抑えることです。

検索条件を「加点項目」より「最低条件」にする

候補を100点満点で比較すると、次の人が常に気になります。

それより、

  • 目的が一致している
  • 会話が成立する
  • 境界線を尊重する
  • 生活上の重大な条件が衝突しない

といった「関係を検討する最低条件」を先に決める方が、全候補をランキングする必要がなくなります。

また、「選択肢が多いほど、よりよい相手を選べる」とは限りません。

選択肢の多さが判断や満足度にどのような影響を与えるのかを、もう少し体系的に知りたい人には、シーナ・アイエンガーの『選択の科学』が参考になります。

恋愛だけを扱った本ではありませんが、「なぜ選択肢が増えるほど決めにくくなるのか」を考えるうえで、マッチングアプリ疲れともつながる一冊です。

「マッチしたか」ではなく関係が一段進んだかを見る

マッチ数は分かりやすい数字ですが、恋人を探しているなら最終目的ではありません。

見るべきなのは、

  1. 条件に合う人とマッチしたか
  2. 会話が成立したか
  3. 安心して会える状態になったか
  4. 実際に会ってもう一度会いたいと思ったか

のどこで止まっているかです。

マッチ数が少ない問題と、マッチ後に誰とも続かない問題では対策が違います。

通知に生活を割り込ませない

Bonilla-Zoritaらが22人を対象に1週間行った小規模なパイロット研究では、アプリの通知後に気分・自己評価が上がる関連が見られた一方、利用時間の増加はアプリを使いたいという欲求の強さと関連していました。[8]

サンプルが22人と小さいため、この結果だけから通知が依存を起こすなどと断定することはできません。

ただ、恋人探しをしている時間と生活している時間を分けたいなら、通知のたびにアプリへ戻る必要はありません。

自分で確認する時間を決める方が、活動の主導権を保ちやすくなります。

「アプリをやめられない」のに「誰とも会いたくない」なら目的を確認する

少し厄介なのが、アプリには疲れているのに削除すると不安になる状態です。

このとき、一度問い直したいのは、現在アプリから何を得ようとしているのかです。

  • 恋人を探しているのか
  • 結婚相手を探しているのか
  • 寂しい時間を埋めたいのか
  • 誰かから選ばれている感覚がほしいのか
  • 暇な時間を埋める習慣になっているのか

目的は複数あって構いません。問題は、目的と行動が逆転することです。

恋人を探すために始めたのに、いつの間にか「マッチすること」が目的になる。マッチした後は会う気がないのに、また新しい候補を見る。

これでは候補数だけ増え、恋愛関係はほとんど前へ進みません。

Sharabiらの縦断研究では、不安、抑うつ、孤独感が強い利用者ほど情緒的消耗や効力感低下が強い傾向が示されています。[2]

これは「孤独な人はアプリを使うべきではない」という意味ではありません。

孤独を減らす目的と、恋人候補を選別する目的を一つのアプリだけに背負わせると、うまくいかない時の心理的損失が大きくなるという点には注意する価値があります。

マッチングアプリ疲れについてよくある質問・Q&A

Q
マッチングアプリに疲れるのは普通ですか?
A

珍しい現象ではありません。

日本でもアプリ疲れを報告する調査があり、海外ではバーンアウト、選択肢過多、自己提示、心理的ウェルビーイングなど複数の観点から研究されています。[1][2]

ただし、利用者全員が疲れるわけではなく、「○割の人は必ず疲れる」と一般化できるほど一貫した代表統計があるわけでもありません。

Q
疲れたらすぐアプリを削除した方がいいですか?
A

必ずしも必要ありません。

原因が同時進行数や利用時間なら、活動量を減らすだけで十分な場合があります。

一方、候補を見ること自体が嫌になっているなら、新しい相手を追加し続ける合理性は低くなります。

Q
別のマッチングアプリに変えれば疲れは解決しますか?
A

原因によります。

真剣度や利用者層のミスマッチならサービス変更が有効な可能性があります。

しかし「候補を大量に比較する」「いいね数を気にする」「複数人へ同じ自己紹介をする」ことが原因なら、似た設計のアプリへ移っても同じ問題が再発する可能性があります。

Q
マッチングアプリに疲れたのは恋愛に向いていないからですか?
A

そこまでは言えません。アプリで必要になる能力と、交際後に必要になる能力は同じではないからです。

大量のプロフィールを高速で比較することが苦手でも、一人の人と関係を深めることが得意な人はいます。逆に、マッチングや初対面は得意でも長期的な関係構築が得意とは限りません。

「アプリが合わない」と「恋愛ができない」は分けて考えるべきです。

Q
休んでいる間に良い人を逃しませんか?
A

可能性はゼロではありません。活動を止めれば、その期間の出会いの機会は減ります。

しかし、疲れ切った状態で大量の候補を雑に除外したり、興味を持てないままデートしたりすることにも機会損失があります。

「止めるリスク」だけでなく「疲れたまま続けるリスク」も比較してください。

まとめ|マッチングアプリの問題は、出会える人数ではなく「選び続けられる人数」にある

マッチングアプリは、出会える候補を劇的に増やしました。しかし、人間の注意力、判断力、感情の容量まで増えたわけではありません。

そのため、ある地点から問題は、「どうすればもっと人と出会えるか」ではなく、「どの程度の人数なら、一人ひとりを人間として丁寧に判断し続けられるか」へ変わります。

選択肢が多すぎるなら減らす。
返信が負担なら同時進行を減らす。
マッチ数が自己評価になっているなら距離を置く。
真剣度の違いに疲れているなら環境を変える。
誰にも興味を持てないなら一度休む。

大切なのは、疲れている自分にさらに努力を追加することではありません。

どこで負荷が発生しているのかを特定し、出会い方の設計を変えることです。

マッチングアプリは恋愛そのものではなく、出会うための一つのインターフェースにすぎません。そのインターフェースが合わなくなったなら、使い方を変えることも、休むことも、別の方法へ移ることもできます。

参考文献・出典

  1. 株式会社ZWEI「【GW前後は利用者が増加!】マッチングアプリ利用者の約9割が『アプリ疲れ』を経験。原因の半数はコミュニケーション負担」2026年4月16日(最終確認:2026年8月31日)
    https://www.zwei.com/news/20260416/
  2. Sharabi, L. L., Von Feldt, P. A., & Ha, T. “Burnt out and still single: Susceptibility to dating app burnout over time.” New Media & Society, Vol.28, Issue 1, 2026, pp.169–190(オンライン先行公開2024年)(最終確認:2026年8月31日)
    https://doi.org/10.1177/14614448241286788
  3. Cela, H., & Wood, G. “A systematic review and meta-analysis of the mental health correlates of swiping-based dating app use.” Communications Psychology, 2026(オンライン先行公開)(最終確認:2026年8月31日)
    https://doi.org/10.1038/s44271-026-00488-7
  4. Pronk, T., & Denissen, J. J. A. “A Rejection Mind-Set: Choice Overload in Online Dating.” Social Psychological and Personality Science, 11(3), 2020, pp.388–396(最終確認:2026年8月31日)
    https://doi.org/10.1177/1948550619866189
  5. D’Angelo, J. D., & Toma, C. L. “There Are Plenty of Fish in the Sea: The Effects of Choice Overload and Reversibility on Online Daters’ Satisfaction With Selected Partners.” Media Psychology, 20(1), 2017, pp.1–27(最終確認:2026年8月31日)
    https://doi.org/10.1080/15213269.2015.1121827
  6. Adamczyk, K., Janowicz, K., & Mrozowicz-Wrońska, M. “Never-married single adults’ experiences with online dating websites and mobile applications: A qualitative content analysis.” New Media & Society, 26(6), 2024, pp.3614–3637(最終確認:2026年8月31日)
    https://doi.org/10.1177/14614448221097894
  7. Degen, J. L., & Kleeberg-Niepage, A. “Coping with mobile-online-dating fatigue and the negative self-fulfilling prophecy of digital dating.” SN Social Sciences, 5, Article 12, 2025(最終確認:2026年8月31日)
    https://doi.org/10.1007/s43545-024-01042-0
  8. Bonilla-Zorita, G., Griffiths, M. D., & Kuss, D. J. “Dating App Use and Wellbeing: An Application-Based Pilot Study Employing Ecological Momentary Assessment and Objective Measures of Use.” International Journal of Environmental Research and Public Health, 20(9), 5631, 2023(最終確認:2026年8月31日)
    https://doi.org/10.3390/ijerph20095631
VIVA SAKAMOTO

Writer & Visual Artist based in Japan. Former JGSDF member with experience in web writing and web direction. I have written more than 250 articles across professional and independent editorial work.

I run Kitaré, Koi!, exploring relationships, psychology, society, and literature through writing, while also creating visual art and moving-image works.

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