浮気に罪悪感がない心理とは?後悔・正当化・責任を分けて考える

夕暮れの窓辺のテーブルを挟んで置かれた二脚の椅子 Love & Relationships

この記事には広告が含まれます。

傷つけられた側は眠れないのに、相手はいつもどおり食事をしている。「悪いと思っている」とは言うものの、話を戻すと面倒そうな顔をする。そんな姿を見ると、浮気そのものに加えて、自分の痛みまで存在しないことにされたように感じるかもしれません。

なぜ罪悪感がないのか。その問いには、少なくとも二つの問題が重なっています。相手が何を感じているかという問題と、相手があなたに対して何を引き受けるかという問題です。

内心を完全に読み取ることはできません。しかし、責任を引き受ける行動があるかどうかは、確かめられます。 この記事では浮気、道徳的な正当化、性格特性を扱った一次研究を読み解き、相手の良心を推測し続ける状態から、具体的な判断へ進むための視点を整理します。

夕暮れの窓辺のテーブルを挟んで置かれた二脚の椅子
  • 後悔が少ないと報告する人はいます。ただし、それを浮気した人全体の特徴にはできません。
  • 「悪いことだと知らない」と「知っていて自分だけ例外にする」は別の問題です。
  • 罪悪感が見えないという一点で、相手をサイコパスと判断することはできません。
  • 謝罪の強さだけでなく、事実への向き合い方と、その後の行動を見てよいのです。

「罪悪感がない」に含まれる三つの違い

日常会話で使う「反省していない」は、とても広い言葉です。泣かない、謝らない、説明を避ける、同じことを繰り返す。それぞれ違う出来事なのに、ひとまとめになりやすいのです。

ここでは整理のために、感情、言葉、行動の三つを分けます。これは相手の人格を採点する心理検査ではありません。話し合いで何が起きているのかを見失わないための区別です。

感情——何に対して苦しんでいるのか

相手を傷つけたことへのつらさと、発覚して自分の立場が悪くなったことへのつらさは、同じではありません。「傷つけてしまった」と「失いたくない」は両立することもありますが、後者だけで前者を証明することはできません。

また、後悔という言葉も曖昧です。行為そのものを悔やむのか、隠し方を悔やむのか、結果だけを悔やむのか。涙の量から、その中身まではわかりません。

言葉——何について謝っているのか

「嫌な思いをさせたならごめん」と「約束を破り、事実を隠したことを謝りたい」では、認めている内容が違います。前者はあなたの反応に焦点があり、後者は自分がしたことに焦点があります。

ただし、完璧な謝罪文を言えたら合格という話でもありません。言葉が不器用でも責任に向き合う人はいるでしょうし、流暢に謝っても行動が変わらない場合はあります。決まり文句を覚えているかより、何を認め、何を変えるつもりなのかが大切です。

行動——不都合を引き受けているのか

事実確認に協力する、合意した境界線を守る、答えを急がせない。そうした対応は、内心の推測とは違って、実際に起きたかどうかを振り返れます。

もちろん、一度協力しただけで将来まで保証されるわけではありません。それでも、「本当はどう思っている?」という終わりのない問いに比べ、「決めたことが守られたか」という問いには、確かめる手がかりがあります。

感情と言葉と行動の区別を表す三枚のカードと三つの石

浮気を後悔しない人は、本当にいるのか

出会いサイト利用者を追った研究

Seltermanらの2023年の研究は、不倫を目的とする利用者を含むAshley Madisonの登録者を調査しました。参加者は不倫関係に高い満足を示し、道徳的な後悔は少ないと報告しています。もともとの関係の満足度と不倫の経験とのつながりも、一般に想像されるほど明確ではありませんでした。[1]

ここから読み取れるのは、「浮気をすれば誰もが同じように苦しみ、後悔する」という想定は置けない、ということです。相手が当然感じるはずの痛みを待ち続けても、期待した反応が返ってこない場合はあります。

一方、この研究を「浮気した人は罪悪感がない」と言い換えるのは行き過ぎです。調査対象は特定のサイトに登録した人たちですし、回答は本人による報告です。後悔に関する項目が測ったものと、人の良心全体は同じではありません。傷つけられたパートナーの経験を、その回答で代弁することもできません。

本人が後悔していないことと、誰も傷ついていないことは、まったく別です。 相手が平気そうだからといって、あなたの痛みが過剰だったことにはなりません。

「関係が悪かったから」に収まらない事情

関係に不満があったという説明が、事実である場合はあるでしょう。しかし、不満があったことと、約束を破り隠したことは、分けて話せます。

たとえば、二人の会話が減っていたという課題には、二人で取り組む余地があります。それでも、相手に知らせず別の関係を持つという選択まで、二人の共同責任にする必要はありません。

理由を知ることは役に立ちます。ただ、理由がわかった瞬間に責任まで消えるわけではないのです。

悪いと知っていても、自分だけ例外にする心理

道徳的離脱という考え方

浮気への罪悪感を考えるうえで役立つのが、道徳的離脱(moral disengagement)という概念です。自分の道徳的な基準と行為を切り離し、問題のある行為でも自分には許されると思えるようにする働きを指します。

「悪いことがわからない人」という説明だけでは、見落とすものがあります。他人の浮気を批判しながら、自分の浮気には事情があったと考えることもできるからです。

AignesbergerとGreitemeyerの2024年の研究は、交際中または結婚している異性カップル236組を調べました。道徳的離脱は、自分自身が浮気だと定義した行為を実際にしたことと関連していました。一方、どの行為を浮気とみなすかという定義との関連は認められませんでした。これは一時点の調査による関連であり、原因の順序を確定する結果ではありません。[2]

この結果から考えたいのは、「浮気の定義さえ共有すれば、問題は解決する」とは限らないという点です。本人の基準でも約束違反なのに、自分の事情を持ち出して許してしまう可能性があるからです。

だからといって、浮気の定義を話す意味がないわけではありません。合意を明確にする段階と、合意を破った責任を扱う段階を、混ぜないことが大切です。

正当化を見分けるための会話例

以下は、研究の発言を引用したものではなく、責任の所在がどこへ移っているかを考えるための例です。一つの発言だけで、相手の性格を決めつけるための一覧ではありません。

  • 「みんなやっている」——他人の行動を、自分の選択の説明に使っています。
  • 「もっとひどい人もいる」——比較対象を変え、今回起きたことを小さくしています。
  • 「寂しくさせたあなたにも原因がある」——関係への不満と、秘密にした選択をまとめています。
  • 「本気ではなかった」——本人の気持ちの軽さで、相手が受けた影響も軽く扱っています。

これらの言葉への返答は、道徳の講義でなくても構いません。「その事情は別に話したい。今は、合意を破ったことについてどう考えているかを聞いている」。話題の範囲を戻すだけでも、何が答えられ、何が避けられているかが見えます。

ただし、話し合いをすると脅されたり、物を壊されたりする場合、説明を引き出すことを優先しないでください。安全に相談できる人や窓口へつながることが先です。

研究を読み解くための本とノートを置いた机

罪悪感がない人はサイコパスなのか

ダーク・トライアドは診断名ではない

ダーク・トライアドは、ナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーという三つの性格特性を研究する枠組みです。日常語の「サイコパス」という人物像や、医療の診断と、そのまま重なるものではありません。

研究で質問紙の得点と浮気の傾向が関連していても、目の前の一人を診断できるわけではありません。「謝らない」「表情が変わらない」という観察だけから、測定されていない性格特性を確定することもできません。

LișmanとHolmanの2023年の研究では、既婚者241人を対象に、性格特性、結婚への満足、浮気への傾向、道徳的な正当化の関係を調べました。サイコパシーとナルシシズムは浮気への強い傾向と関連しましたが、マキャベリアニズムの独自の直接・間接効果は有意ではありませんでした。三つの特性が一様に働くという結果ではありません。[3]

この研究が扱っているのは、集団における変数どうしの関係です。個人の将来の浮気を予言する道具でも、すでに起きた浮気の原因を一つに絞る証拠でもありません。

また、統計モデルで「正当化が媒介する」と示されても、それだけで「性格が正当化を生み、その結果浮気した」という時間的な順番が証明されたわけではありません。関連を理解することと、原因を断言することは分ける必要があります。

病名をつけなくても、距離を置ける

相手を分類したくなるのは、不可解な行動に説明がほしいからかもしれません。名前がつけば、ようやく自分の感じ方が正しかったと思えることもあるでしょう。

けれども、距離を置くために、相手の人格の正体を突き止める必要はありません。「何度も約束が破られた」「質問すると侮辱される」「この関係では安心して生活できない」。そうした具体的な経験は、それ自体が判断材料になります。

あなたが心理学の専門家になって相手を解明しなければ、自分の生活を守れないわけではありません。

浮気の反復を「脳のせい」と説明するときの注意点はこちら

謝罪を見極める四つの問い

ここからは、研究結果を踏まえた実用上の整理です。再発を予測する検証済みの尺度ではなく、話し合いの論点を整理するための問いとして使ってください。各項目を開くと、確認することと会話例が表示されます。

WORDS → ACTIONS

内心の推測から、確かめられる行動へ

01|何をしたと認めているか

感情をなだめる言葉だけでなく、破った約束や隠した事実が話されているかを整理します。

会話例:「私が怒ったことではなく、あなたが何をしたと考えているかを聞きたい」

02|影響を誰の問題にしているか

傷ついた側の性格の問題に置き換わっていないかを確かめます。二人の不満と、秘密にした選択は分けて扱えます。

会話例:「関係の不満は別に話そう。今は、隠したことの影響について話したい」

03|何を、いつから変えるか

抽象的な決意を、互いに同意できる具体的な行動にします。無断の端末確認や常時監視を前提にはしません。

会話例:「今後の連絡について、できることとできないことを具体的に決めたい」

04|あなたの選択が尊重されるか

すぐ許すこと、関係を続けること、秘密にすることを条件にされていないか。答えを保留する自由も含めて考えます。

会話例:「謝罪は聞いたけれど、今すぐ今後の答えは出せない」

話し合いを整理するための図表です。人格診断や再発予測の尺度ではありません。威圧や危険がある場合は対話より安全を優先してください。

事実を認めることと、詳細を浴びせることの違い

事実への協力とは、傷つく描写をすべて聞くことではありません。今も関係が続いているのか、どの約束が破られたのか、自分の今後の判断に何が必要なのか。まず必要な情報の範囲を整理してよいのです。

知りたい気持ちと、聞くとつらくなる気持ちが同時にあっても矛盾ではありません。今日は聞かないことを決めても、後で確認したくなって構いません。相手の都合で一度きりの質問時間にされる必要はありません。

透明性を、終わりのない監視にしない

信頼が壊れた後、連絡の仕方や予定の共有について合意することは考えられます。ただし、それがあなた一人の常時監視という仕事になっていないかも、振り返ってください。

毎日端末を調べなければ関係が保てない状態は、少なくともあなたに大きな負担をかけています。「見張れば安心できるはず」と自分に追加の仕事を課す前に、相手が自分から引き受ける行動と、あなたが引き受けない負担を分けてみてください。

他人の端末やアカウントへ無断で入ることを勧めるものではありません。確認の方法は互いの同意と安全を前提にし、境界線を決めます。

落ち着いたカフェで真剣に話し合う二人

話し合いが責任転嫁に変わったとき

「いつまで責めるの」「あなたにも悪いところがある」「疑うから関係が悪くなる」。話し合いのたびにあなたの人格や反応が議題になり、最初の問題が消えてしまうことがあります。

一度の防御的な反応と、継続的な支配は同じではありません。それでも、自分の疑問が毎回封じられるなら、対話の内容だけでなく、対話の進み方そのものを見直す価値があります。

  • 今日確認したかったことを一文で書きます。
  • 相手が実際に答えたことと、答えなかったことを分けます。
  • 自分が次に選べることを、連絡を休む、第三者に相談するなど具体的に書きます。
  • 脅しや威圧がある場合は、二人だけで解決することを目標にしません。

記録は、相手を論破する資料にする必要はありません。話し合いの後に自分が何を考えていたかを失わないためのものです。相手に見つかることで危険が増す場合は、保存場所や相談方法を先に考えてください。

記憶の食い違いと心理的支配の違いを整理する

パートナーからの暴力や威圧が心配なときは、内閣府のDV相談ナビで相談先を確認できます。相手の罪悪感の有無を証明してから相談する必要はありません。[4]

関係を続けるかどうかは、感情が決着してからでなくてよい

「まだ好きだから離れられない」「許せないけれど、すぐには生活を変えられない」。判断には、感情だけでなく住まい、お金、子ども、仕事なども関わります。気持ちを一つに整えてからでなければ動けない、と考える必要はありません。

今すぐ結論を出さずに連絡の頻度を減らす。相談だけ先にする。自分の生活を維持するための情報を集める。関係の最終判断とは別に、小さな選択を進めることはできます。

また、相手が誠実に謝ったとしても、あなたに関係を続ける義務が生まれるわけではありません。謝罪を受け取ること、許すこと、信頼すること、交際や結婚を続けることは、それぞれ別の選択です。

もう少し広い視点から読みたい人へ

エスター・ペレルの『不倫と結婚』は、なぜ不倫が傷になるのか、なぜ関係の外へ向かうのか、その後の二人をどう考えるかを扱う本です。出版社の目次でも、動機だけでなく、傷や発覚後の関係が取り上げられています。[5]

相手の言い分を受け入れるためではなく、自分の経験を考える言葉を増やしたいときの読書候補です。許す答えや別れる答えを一冊に決めてもらう必要はありません。つらさが強い時期は、読むのを後回しにしてもよいでしょう。

朝の水辺の道を一人で歩く女性の後ろ姿

よくある質問

Q
浮気に罪悪感がない人は、必ず繰り返しますか?
A

必ずとは言えません。ここで紹介した研究から、特定の一人の再発を予測することはできません。罪悪感があるという発言だけで安心するのでも、表情だけで将来を決めつけるのでもなく、合意と行動が継続して一致するかを判断材料にできます。

Q
泣いて謝ったら、本当に反省しているのでしょうか?
A

涙だけで、何を悔やんでいるかまではわかりません。何をしたと認めているか、あなたが受けた影響に向き合うか、今後の具体的な行動を引き受けるかを、言葉とあわせて確かめてください。

Q
相手に罪悪感を持たせる方法はありますか?
A

相手の内心を確実に変える方法として、この記事から勧められるものはありません。責め続けて反応を引き出すより、起きたこと、自分への影響、今後受け入れられないことを区別して伝え、自分の選択を考えるほうが具体的です。威圧がある場合は対話より安全を優先してください。

Q
浮気した相手を理解しないと、前に進めませんか?
A

すべての動機を理解しなくても、自分の生活について決めて構いません。理解できない部分を残したまま、距離を置く、相談する、関係を終える、条件を決めて考えるといった選択はできます。

良心の証明より、責任のある行動

浮気に罪悪感がないように見えるとき、私たちは相手の心の奥に答えを探します。後悔していないのか、正当化しているのか、感情を見せないだけなのか。研究は、その可能性を考える材料を与えてくれます。

しかし、あなたがこれからの生活を決めるために必要なのは、相手の内面を完全に解読することだけではありません。事実が認められるか。傷ついた側に責任が押しつけられていないか。合意が行動になっているか。あなたの選択が尊重されるか。

相手がどれほど悪いと感じているかを証明できなくても、あなたは、どう扱われたいかを決めてよいのです。

参考文献・一次資料

[1] Selterman, D., Joel, S., & Dale, V.(2023)No Remorse: Sexual Infidelity Is Not Clearly Linked with Relationship Satisfaction or Well-Being in Ashley Madison Users. Archives of Sexual Behavior, 52, 2561–2573. 原文を読む

[2] Aignesberger, V., & Greitemeyer, T.(2024)Morality in romantic relationships: The role of moral disengagement in relationship satisfaction, definitions of infidelity, and committed cheating. Personal Relationships, 31, 606–627. 原文を読む

[3] Lișman, C. G., & Holman, A. C.(2023)Dark, Dissatisfied and Disengaged: Propensity towards Marital Infidelity, the Dark Triad, Marital Satisfaction and the Mediating Role of Moral Disengagement. Psihologija, 56, 163–177. 原文を読む

[4] 内閣府男女共同参画局「DV相談ナビについて」。 原文を読む

[5] 晶文社『不倫と結婚』書誌・目次。 原文を読む

研究紹介は原文の要約であり、逐語引用ではありません。[1]には制作過程で混入した表の削除と表番号の修正について訂正があります。訂正情報: 原文を読む

資料確認:2026年10月。研究結果から個人の診断や再発確率を算出するものではありません。

VIVA

Writer & Visual Artist based in Japan.

Former JGSDF member with professional experience in web writing and editorial direction.

Writing about relationships, communication, and human behavior, with a focus on research-informed perspectives, thoughtful analysis, and practical insights.

FOLLOW
Love & Relationships
広告
タイトルとURLをコピーしました